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DAISYセミナーに参加して [日記]

財団法人 日本障害者リハビリテーション協会主催の「障害者への情報支援の普及・啓発シンポジウム - DAISY を中心として-」に行ってきました。

DAISY とは、Digital Accessible Information SYstemの略です。日本語では「アクセシブルな情報システム」と訳されており、音声、文字、画像などをあわせたマルチメディアコンテンツを構成するファイルの仕様のことです。

すでに視覚障害者のための録音図書の分野では音声のみの DAISY 図書がだいぶ普及しています。
マルチメディア DAISY は、文字を読むのが大変な学習障害のある方々や、画像や動画、文字、音声がセットになっていると情報を理解しやすい知的障害のある方たちにも有効なのだそうです。

今日は、精神の障害をもっている方が病気の症状や日々の対処方法を自ら紹介された DAISY 形式のスライドも初めて見せてもらいました。それはとても明解で、ところどころにユーモアがあふれていて、なんだか共感してしまいました。

シンポジウムではいろいろな立場の人たちが DAISY の活用事例を発表し、今後の発展に向けての提案がなされました。
主に以下の七つの課題が上げられました。

  • 図書を DAISY 化する際に著作権の問題をどのように解決していくか
  • 各障害に応じた最適な活用方法の明確化
  • DAISY についてのPRの充実
  • DAISY へのニーズの把握の必要性
  • 電子出版などと連携したユニバーサルな支援体制の実現
  • DAISY の国際標準化の促進
  • さまざまなメディアや多言語に対応するための技術開発の継続

また、DAISY の創始者の河村宏氏の公演には、DAISY は W3C の Web 作成に関するガイドラインを充たしながら開発されてきたこと、今年の5月ごろに公開される予定の SMIL3.0では動画に音声や文字による解説が付けられるようになることなど、興味深い内容も含まれていました。
技術が独占されておらず、常にアクセシビリティに配慮しながら発展してきた DAISY のさらなる可能性を私は再認識しました。

今後は、例えば DAISY 図書に収録されるデータの加工とか、障害者が手軽に DAISY データを利用できるようになるための講習会とかで、障害をもつ当事者ももっと役割を担っていけたらいいなと思っています。


タグ:daisy
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コメント 4

かのぴこ

お久しぶりです!
お、DAISY、と思って飛びついてみました(笑)
とは言え、実際の文書とかを利用したことはないんですけどもね(汗)
音声や画像に対するメタデータの付与やアノテーションといった分野を突き詰めてやろうと思ったりした事があるんですが(指導教員を説得できず挫折(汗))ここらへんは難しい分野ですよね。

私は表現系というかマルチメディアデザイン系なので、その観点から見ると、文章表現と音声や画像では表現の肌理が違うというその違いが「マルチメディア」を喜べる理由なんですけど、メタデータの付与だとかアノテーションはそれを平板化してしまうのではないかと。しかしアクセシビリティという問題に関して言えばその違いがネックになる所であって、そこをうまいこと解決できているのかという疑問があります。そもそもうまく表現する必要性があるのかとか、また、作業量的な問題も含まれていますしね。

やや話が堅くなってしまいましたが(汗)、技術発展をぼけーっと眺めているだけではなくて、アクセシブルでもうちょっと感覚的に理解出来るようなメディアが生まれる素地を見逃さないようにしなければ、と個人的には思ったりしております。
by かのぴこ (2007-02-24 02:06) 

清沢友加

 かのぴこさん、興味深い内容のコメントをありがとうございました。おっしゃることは私も感覚的によく分かります。
現実的にどこまでアクセシビリティを求めるのが妥当なのかとか、どんな事例が差別的なのかとか、そういう問題をつき詰めて考えていくと難しいですよね。

 Webサイトにある画像全部に大体テキストを付けるのは大変でしょうし、出来上がったものも、まどろっこしくなってしまうかもしれません。
情報の重要性や必要性も考慮されなければならないでしょう。
たとえば「プールボランティア」のサイト(http://www.pool-npo.or.jp/)のトップページには、子どもが泳いでいるアニメーションがあります。これには「アニメーション、スイマー」という説明が付いているのですが、何歳くらいの子どもがどんなふうに泳いでいるかといった解説まではなくてもいいと思います(実際に、書かれていませんけれども)。

 最近はHDやDVといった規格のマルチメディアが普及してきました。
画質や音質・汎用性など、すべてにおいてDAISYが一番いいかどうかは分かりませんが、印刷物を読むのが困難な立場のものとしては、少なくても教科書の提供やEラーニング等の教育的な分野ではDAISYがもっと普及してほしいですね。
by 清沢友加 (2007-03-08 21:59) 

かのぴこ

えらい昔のエントリにコメントしてすいませんでした(汗)
なのに丁寧に書いて下さってありがとうございました。といいつつ、もう一言...(笑)

>教科書の提供やEラーニング等の教育的な分野ではDAISYがもっと普及してほしい

ほんとその通りだと思います。田舎に住んでいますと、都会のように様々な機会に参加する事が難しくなってきますが、技術の発達などによって、自分の住まいする所を自由に選びながら情報は同じように享受できるという状況が広がりつつありますよね。

しかしながら、高校学習の未履修問題で浮き彫りになった事は、地方で大手の予備校などが周辺に無い状況で、地方公立高校が大手予備校のような役割を担っていた部分があったという事でした。

これだけを取り上げる事は危険ですし、大手予備校も衛星放送なんかやってますから出来なくはないはずではありますし、勉強というレベルで言えば、勉強すればどんな、ど田舎の子供でも等しく機会はあるはずですけれどもね。

何でもかんでも都会と同じようにとは行かないしそれもつまらないと思いますが、教育の分野に関してはやはり、誰でも勉強したいと思ったら出来るようになるべきだなとは強く思います。その意味でそうした分野でのDAISYの普及はとても大切でしょうね。
by かのぴこ (2007-03-13 13:30) 

清沢友加

Microsoft WordでDAISY形式のファイルが作れる「DAISY Translator日本語版」は日本障害者リハビリテーション協会のサイトからダウンロードできます。
 http://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/software/save_as_daisy.html

by 清沢友加 (2010-05-05 20:48) 

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