エクストラ社の「最新支援技術セミナー」に参加して [パソコン利用]
2月17日、エクストラ社の「最新支援技術セミナー」に行ってきました。
まずは、Windows CE搭載のPDA(携帯情報端末)である「ブレイルセンス日本語版」の紹介でした。ブレイルセンスには、ワードプロセッサ・Eメール・ネットブラウザ・ファイル管理等の基本的な機能の他、メディアプレイヤとDAISYプレイヤの機能も内蔵されています。
個人価格は567,000円で、私にはとても手が届きそうにありませんが、本体の重さは1.3kgと比較的軽く、ノートパソコンと点字ディスプレイとプレクストークが一緒になったと思えば、安くて便利なのはこの上ないと思いました。
ブレイルセンスは多様な接続形態に対応しており、音声を消していても点字表示で確認しながらほとんどの操作ができる点や、マイクからの録音機能も付いている点に、私は引かれました。
さらに、エクストラ社のサイトで公開されているブレイルセンス用のファームウエアをダウンロードして最新のバージョンにすると、以下の機能なども使えるようになるそうで、ますます協力です。
- MSNメッセンジャーでのチャット
- BESファイル(点字データのファイル形式の一つ)の読み込み
- 点字の英語略字による入力
ただ、PDAはパソコンに近いので、起動するまでに少なくとも1分ほどはかかりそうです。私はケージーエス社製の「ブレイルメモ」という点字電子手帳を持っているのですが、それは、スイッチを入れるとすぐに使えて、用が済んだらそのままスイッチを切ればいいところが手軽で便利です。作成したデータを保存するという作業すらいりません。でも、ブレイルセンスのようなPDAは、そのあたりが電子手帳とは少し違うのではないかという感じがしました。
それから、ブレイルセンスはバッテリーだけでどのくらいの時間使えるのか、聞いてくればよかったと、あとで思いました。
次に、開発中のJAWS V8.0日本語版のインストールされたパソコンでの Windows Vista と InternetExplorer7、 Microsoft Office 2007の実演を見ました。
ところで、現状では、主な読み上げソフトの Focus Talk V2.0と Catwalk V1.1.5.9はWindows Vista にも、そのままインストールして使えます。
PC-Talker XPは Windows Vista用の新しいバージョンを買わなければなりません。
今、読み上げソフトを選ぶとしたら Windows XP と Vista の両方に対応しているものにしたほうが、めんどうがなくていいような気がします。
また、日本語版 Office2007 ではMS-IMEのバージョンも上がってMS-IME2007になります。 これから確認してみますが、今のところ、MS-IME2007にはどの読み上げソフトもまだ対応していないのではないかと思います。JAWSでさえも、変換候補をちゃんと読み上げるように現在調整中だそうです。
Office2007ではメニューバーがなくなり、その代わりに「リボン ユーザー インターフェイス」というものになっていたり、旧バージョンのOfficeで使えたショートカットキーも一部使えなくなっていたりするらしいです。びっくりしました。
最後は「ビュープラス・タイガープリンタ」の紹介でした。シリーズで数種類ありましたが、点字と活字を一緒に印刷できたり点字や点図もカラー印刷できたりするのが特徴でした。 これらのプリンタと「タイガー・スイート日本語版」というソフトを併用することで、WordやExcelで作成したデータを簡単に点字や点図として印刷できます。
参加者からは以下のような興味深い質問が続いていました。
- 分かりやすい点図にするために棒グラフの棒を実際より太くしたらグラフから棒がはみ出してしまうようなことはないのか。
- カラー印刷の場合は点図でも色の違いを触って識別できるのか。
→ ブルーとワイン色に色分けされた点図のグラフを私も触らせてもらったのですが、言われてみれば少し手触りが違うかなという程度の印象でした。 - WordやExcelのデータをそのまま印刷するとき、点訳する段階で漢字の読み方が間違っていたり、点字が不適当な箇所で改行されてしまったりしないのか。
→ やはり、そのあたりは多少手直しが必要だそうです。 - 画像認証の画面で、入力するように求められる文字や数字の画像を点図で印刷して触ることはできないだろうか。
ICT技術の進歩とともに視覚的な情報を処理する能力がどんどん重視されるようになってきたように日々感じています。インターネット上で公開されているマニュアルやパンフレット・申請書等は見栄えがよくて印刷しやすいPDF形式のものがほとんどですし、講義をする場合でも Power Point などで作ったスライド形式の資料を見せながら説明するのが当たり前となってきています。目の見えない私がどれだけ練習を重ねて機器を駆使したり、たくさんの資料を読み漁ったりしても、「見えること」にはかなわない、百聞は一見にしかずなのだとジレンマに陥りそうになることも多々あります。しかし、無理だろうと最初から諦めて人任せにするのではなく、利用者自身が日ごろのニーズや新たな発想を出し合って試行錯誤しながら支援技術を育てていく姿勢が大切だと、希望をもち直せたセミナーでした。
えっと、当日JAWSについてしゃべったものです(笑)。
以下、捕捉いたします。
ブレイルセンスですが、機動にはほとんど時間がかかりません。完全なリセットからの機動で30秒ほど、一般的には電源を切った状態を覚えてくれていますので、次に電源投入から使えるようになるまでには数秒です。
それから、JAWS7.1は「絶対に」Vistaには入れないでください。下手をするとコンピュータが起動しなくなります。JAWS8.xは、もちろんXP, 2000にも対応しています。
Office2007ですが、Ctrl+Oはあります。ただ、これまでならばメニューバーをたどることで確認ができていましたが、リボンツールバーではショートカットキーの確認が難しいのかもしれません、未確認。
セミナー後にOffice2007は削除してしまったので…。そのうちVistaの上にOffice2007を入れておきます。
なにかを感じて頂ければ幸いです。
by Sei Ken (2007-02-26 21:44)
Sei Kenさん、早速補足していただきありがとうございました。記事の内容も少し修正しました。
ブレイルセンスはすぐに起動するとのこと、安心しました。
by 清沢友加 (2007-02-26 22:52)
早速ありがとうです。ちなみにブレイルセンスのバッテリーの持続時間は15時間、充電に6時間、といったところでしょうか。使用環境によっても変化するとは思います。
by Sei Ken (2007-02-26 23:31)
Sei Kenさん、情報をありがとうございます。
ブレイルセンスはバッテリーで10時間以上使えるんですね。よかった。もしかして、音声を出さないで点字表示だけで使用した場合のほうがバッテリーの持続時間が伸びたりしますか。
by 清沢友加 (2007-02-28 06:02)
おじゃまいたします。ぬけちゃんです。私もこれに参加したいと重い申し込んだのですが、
当日どうしてもいけなくなってとっても残念に思っていたので、こちらを読ませていただいて、
ありがたいです。私には少し難しいかもしれませんが、新しいものに取り組んで生きたいと思います。
ありがとうございました。
by ぬけちゃん (2007-03-01 09:24)
確かに、点字だけで使ったほうが長持ちするかもしれませんね。比較してみたことはありません。私じゃほとんど無線LANのカードがささった状態で使っていますから、これも影響するだろうなと葉思います。たぶんないほうが長持ちするでしょう。どのくらい差が出るかは比較するのが難しいでしょうね。
> おじゃまいたします。ぬけちゃんです。私もこれに参加したいと重い申し込んだのですが、…
申し込んでくださってありがとうございました。またどこかで企画したいなと思いますので、そのときにでもお会いしましょう。
#人のブログでごめんなさいです。
ではでは。
by Sei Ken (2007-03-01 13:17)
ぬけちゃんさん、こんにちは。コメントをありがとうございました。
私のつたない報告を楽しんでくださったみたいで、うれしいです。
ぬけちゃんさんはJAWSユーザーでブレイルメモも使いこなしていらっしゃるので、十分にパワーユーザーだと思いますよ。
私も、ぬけちゃんさんには、WordやExcelの使い方をだいぶ教えていただいています。今後とも、よろしくお願いいたします。
by 清沢友加 (2007-03-03 09:03)
Sei Kenさん、引き続き「ブレイルセンス」に関する情報をありがとうございました。
やはり、無線LANで常時使ってこそPDAですよね。いいなあ!私も、ほしくなってきちゃった。
by 清沢友加 (2007-03-03 09:04)