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『うなぎ』 [日記]

今村昌平監督の日本映画です。1997年に公開されました。
原作は吉村昭の小説『闇に開く』です。
この作品は、第50回カンヌ国際映画祭でパルム・ドール賞を受賞しました。

不倫の現場を目の当たりにした主人公の山下拓郎(役所広司)は衝動的に妻を庖丁で刺殺してしまう。
8年の刑期を終えて仮出所した山下は、利根川の河辺で小さな床屋を開いて、飼っているうなぎだけを話相手にしながら静かに生活している。そして、自殺未遂をして倒れていた桂子(清水美砂)を救う。
深刻で暗い映画ではなく、乾いたユーモアがあふれ、ところどころで笑った。
私は最初は「ありえない」と思いながら観ていたが、だんだん引き込まれ、「そういう事もあるかもしれない」という気持ちになっていった。
私も余裕がなくなってくると何もしゃべれなくなって目の前のことに集中してしまうところがあり、床屋で黙々と働く山下に少し共感した。
なかでも、山下が幻想を見て、うなぎの水槽に手を突っ込んでかき回していたシーンはリアルだった。私の手のひらにも、じっとりと汗がにじんだ。
最後のほうで、山下が桂子の作ったお弁当を受け取っていたのが印象的だった。穏やかな幸せの形のような気がした。
山下がうなぎを川に逃がすところもよかった。なんだか希望がもてた。
人生は複雑で、悩んだり迷ったり誤ったりすることも多いけれど、パッと霧が晴れるように答えが見つかる瞬間もあるよね。

今回も、音声ガイドのおかげで、うなぎを捕まえる道具の仕組みとか、幻想や回想のシーンとか、よく分かりました。この映画に音声ガイドを付けてくださった方々に感謝しています。
映画の音声ガイドとは、映像の中の風景や状況の変化、登場人物たちの表情、動作、服装などの説明です。映画の進行と同時に FMラジオでイヤホンで聞くことができます。セリフのない場面でもどんな映像が流れているのかが伝わってきます。


タグ:映画
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